2010年02月04日

写真家四十八宜

写真家安井仲治が残した「写真家心得」をここに記します。
1930年代に活躍していた人とは思えないほどの先見性であると思います。
部員のみなさん座右の銘にしてはいかがでしょうか。

い いつそスラムプは大なるがよろし  

ろ ろくでもないもの感心せぬがよろし

は ハツと感じたら写すがよろし    

に ニツコリ微笑む自信はよろし

ほ ほんとに自分を生かすがよろし

へ 下手な上手、上手な下手、どちらがよろし

と 撮れぬものは撮らぬがよろし

ち チクリと痛い批評はよろし

り 理窟倒れも時にはよろし

ぬ 塗つた薬は銀乳剤、時節柄無駄せぬがよろし

る 類を以つて集ると雖(いえど)も類作はせぬがよろし

お 煽てられたら少しは乗ってみるがよろし

わ 判るまで勉強するがよろし

か カメラ自慢はせぬがよろし

よ 夜も写るフィルムはよろし

た 誰も出来ぬ事せぬがよろし

れ 例会は真剣にやるがよろし

そ ソツと控ゑ目、内容ある作品よろし

つ 常にカメラと離れぬがよろし

ね 熱心、粘り、は最もよろし

な 夏の暗室出た時よろし

ら ラクに出来てもいゝものはよろし

む 無理にやつてもいゝものはよろし

う 写るのはあたりまへと心得るがよろし

ゐ 井の中の蛙、自惚れぬがよろし

の のぼせた写真家冷すがよろし

を 女の写真家もつと増へてよろし

く 首にかけたカメラ伊達じやないと知るがよろし

や やめたい人はやめるがよろし

ま まるで下手でも根気ある人よろし

け けつして油断をせぬがよろし

ふ フイルムの供給円滑なるがよろし

こ 斯の道ばかりと思ひ込むのはよろし

え 英気養う日曜よろし

て 敵も適度にあるがよろし

あ アマチユアーとて甘やかさぬのがよろし

さ 醒めたる人々奮ひ立つがよろし

き 嫌いな作品学んでよろし

ゆ 夢をもつ作家大いによろし

め 眼の肥ゑた人多い程よろし

み 水あらひは叮寧にするがよろし

し 失敗位は恐れぬがよろし

ゑ 縁のあるモデル手荒にせぬがよろし

ひ ヒカリの画集は売行よろし

も もう少しで推薦、残念なのもよろし

せ セメテたまにはホメられてよろし

す すぐに天狗にならぬがよろし

京 きようの写真より明日の写真よろし

これは安井氏が写真仲間の手塚粲と仕事の行き帰りに、当時住んでいた宝塚までの阪急電車の車内で考案されたらしい。

手塚粲は実は漫画界の巨匠、手塚治虫の父なのだ。

安井たちの伸びやかな実験精神が息子の手塚治虫の作品にまで及んでいるというのは言い過ぎだろうか。
(参考文献 飯沢耕太郎著「写真を愉しむ」)
posted by inou at 23:43| Comment(0) | 写真家四十八宜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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